技術情報

発熱問題を解決する銅インレイ基板

TCRに優れ、銅に対する熱起電力が微少である抵抗材マンガニンを使用し、小さなスポットによる熱影響の少ない電子ビーム溶接技術で製造されるシャント抵抗器は、その特性から、近年スマートメーター、ハイブリッド自動車、電気自動車のバッテリーマネージメントシステム(BMS)の電流検出抵抗器として注目されています。

大電流アプリケーションの電流検出の変化

電流検出の他の手法として従来からあるのが、ホール素子と呼ばれるデバイスを使用した方法です。

今までこのような大電流アプリケーションでは発熱の問題から抵抗器を使用した電流検出方法は敬遠されホール素子が広く採用されてきました。

近年、アナログ半導体各社からシャント抵抗の導入を阻んでいた色々な問題を解決するアナログ・フロントエンド回路が実現されており、シャント抵抗器の優位性が増しています。発熱への対処だけが残された課題と言っても過言ではありません。

銅インレイ基板を活用した発熱対策

抵抗器に限らず発熱の問題はシステムレベルで考慮すべき課題です。受動部品を含む多くの部品を搭載する基板のメーカーもその解決に向け取り組んでいます。

その代表例が、銅インレイ基板になります。銅インレイ基板を使用した排熱方法は図1のように、発熱部品の下部に銅インレイ(基板を貫通する銅柱)を形成し排熱効果を高めようとする方法です。

 図1 ※本文中のイラストと画像は大陽工業株式会社様ホームページより引用
図2 ※本文中のイラストと画像は大陽工業株式会社様ホームページより引用

さらに排熱効率を高める方法として銅アルミクラッド材をヒートシンクと基板間に用いる方法があります。アルミは熱を拡散する特徴は無く、大電流アプリケーションではより効率的な排熱方法が求められます。図3のように基板の銅インレイ部をブリッジ材を介しヒートシンクの銅面につなげ、銅の熱拡散の特徴を利用しヒートシンク全面から排熱することで、より効率の高い排熱が可能になります。

このように銅インレイ基板を使用し発熱の問題を解決することでシャント抵抗器の大電流アプリケーション分野での活用を推進することが可能です。

図3 ※本文中のイラストと画像は大陽工業株式会社様ホームページより引用

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