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電流検出シャント抵抗器の最新トレンド

一部の抵抗器メーカーから電気自動車のバッテリー管理システム(BMS)など大電流を扱う電流検出シャント抵抗器にサーミスタを搭載したシャント抵抗器が発表されています。

大電流を扱うシャント抵抗器は銅と抵抗合金から製造された大型の抵抗器が主流でTCRも大きくなります(20℃~60℃で±50ppm/℃~±100ppm/℃)。サーミスタ付のシャント抵抗器が発表された背景には、高い精度で電流検出を実現したいという要求があります。サーミスタとは何か、それがどのように正確な電流検出に役立つのかを簡単に説明します。

サーミスタとは何か?

サーミスタ(Thermistor)とは、温度変化に伴い抵抗値が変化する電子部品です。「温度に敏感な抵抗体(Thermally Sensitive Resistor)」からの造語です。

サーミスタには、温度上昇とともに抵抗値が減少する負特性(NTC)タイプと、温度上昇とともに電気抵抗が増加する正特性(PTC)タイプがあり、それぞれNTCサーミスタ、PTCサーミスタと呼ばれています。一般的に温度測定に使われるのはNTCサーミスタです。

下のグラフから分かるように、白金は温度に対する抵抗値の変化率が非常に小さい金属です。これに対しサーミスタに使用される金属は温度変化に非常に敏感(抵抗値変化が大きい)に反応するように調合された合金です。サーミスタを使用すれば温度変化をとらえやすくなるという事です。

NTCサーミスタによる抵抗値補正

金属板抵抗器は本体及び周囲の温度の変化により抵抗値も変化します。正確に電流を検出するには、その温度での抵抗値を正確に把握する必要があります。

発表されているサーミスタ付のシャント抵抗器では、小型のサーミスタがシャント抵抗器上の基板に実装されています。BMSではサーミスタの抵抗値を検出した信号から温度を把握し、シャント抵抗の電圧降下から測定した抵抗値に温度による抵抗値の変動を補正し、正確な電流値を求めるような回路設計が必要になります。

補正の方法は、搭載されるサーミスタにより異なりますので、シャント抵抗器のデータシートやユーザーズガイドを参照の上、設計するようにしてください。

設計時のコスト検討の重要性

BMSに限らず車載システムは激しいコストダウンが要求されます。温度によって特性が変動するのは抵抗器だけではありません。他の電子部品や電子回路に対しても温度による変動を補正することは必要です。サーミスタを他と共有しコスト削減できないか、そこまでの精度が必要か?システム全体を考え構成やコストを最適化することは非常に重要です。

当社の搭載事例

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