技術情報

電子ビーム溶接と精密低抵抗シャントの関係

精密低抵抗シャントを製作する上で、溶接方法とシャント抵抗器の特性には関係があります。低抵抗、高精度、低TCR、特性の長期安定化を可能にするシャント抵抗器の銅合金と抵抗材の接合には、電子ビーム溶接が用いられます。

電子ビーム溶接とは

溶接材料を添加せず、溶接対象物のみを溶融させて接合を行います。そのため溶接強度は、溶接対象物の母材強度に近い値となります。
溶融幅の狭い深溶け込み溶接が可能で、これにより極小部分の入熱量となるため、熱影響(Heat Affected Zone:HAZ)部が狭く、溶接変形の少ない高精度な溶接が可能となります。

電子ビーム溶接のメリットとシャント抵抗器

抵抗値がμΩレベルで公差が±1%、抵抗合金部のTCRが±20ppmレベルの精度の高い低抵抗のシャント抵抗を製作しようと思うと、その材料は端子が銅で抵抗合金部は銅とマンガンの合金(マンガニン、ゼラニンなど)を接合した材料になります。

板厚の厚い材料から薄い材料まで溶融幅の狭い深溶け込み溶接が可能な溶接方法が必要になります。抵抗合金などの特性に影響しないよう、溶接時の熱影響を少なくする必要もあります。

SHIVALIK BIMETAL CONTROLS社のシャント抵抗器と電子ビーム溶接

SHIVALIK BIMETAL CONTROLS社はレーザー溶接ガンを2つ持つラインが4ライン、1レーザー溶接ガンを持つラインが2ライン。合計10の溶接ガンを所有しており、電子ビーム溶接材の生産能力は現在世界No1です。(2022年6月時点)

電子ビーム溶接は真空状態で行う必要があるためバッチ式の装置が多い中、Shivalikの電子ビーム溶接機の入り口と出口に小さな窓を設けることでコイル材を扱うことを可能にしています。真空状態で行う必要があるため、溶接室の前後に何段かのパーティションを設け段階的に真空度を高め、溶接室の真空度を0.5~2.0Paの状態に保持しながら、銅材と抵抗合金材を溶接していきます。溶接の品質を保持するため真空度が4Paに下がった時点で自動停止するよう制御されています。全ての溶接ラインでコイル材を扱うことで高い生産性を可能にします。

SHIVALIK BIMETAL CONTROLS社のシャント抵抗器:SBシリーズの製造工程について、動画で紹介していますので、是非ご確認ください。

関連記事

お気軽にご相談ください

シャント抵抗器.comを運営するバイメタル・ジャパンは世界各国で豊富な納入実績を持つシャント抵抗器メーカー:SHIVALIK BIMETAL CONTROLS社の国内唯一の代理店として、グローバルで活躍する日本企業様のパートナーとして選ばれています。培ってきたノウハウと、メーカーとの密な連携によりコスト面、品質面で最適な提案をさせて頂きます。

電話番号:0466-21-8387