シャント抵抗器とは

シャント抵抗器とは

シャント抵抗器とは、回路の電流を検出するための抵抗器のことを指します。
従来、電流の測定範囲を拡大するために分流器として電流計と並列に接続する抵抗器をシャント (Shunt) と言いましたが、近年では回路電流を検出する電流検出用途の抵抗器を総称してシャント抵抗器と言います。

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抵抗器というと特定の形状や値を持った機器をイメージしやすいですが、シャント抵抗器は機能や製品を分類する用語として使用されるため、製品仕様や構造上に明確な決まりはありません。様々なアプリケーションに使用されるため、用途に適した抵抗値が選定されます。

シャント抵抗の電流検出方法

並列

シャント (Shunt) は 「そらす」「よける」「分岐する」 といった意味があります。従来は言葉の意味の通りの分流用途として、電流計に並列で挿入する抵抗器のことを表しておりました。

電流計の測定範囲を拡大させることを目的として使用します。図のように抵抗器を電流計に並列に挿入することで、流れる電流を分流させ、回路全体に流れる電流の測定を実施します。

並列による電流検出方法の図

直列

抵抗器を回路に直列に挿入し使用します。図のように抵抗器の両端に検出回路や変換機を設置し、電位差(電圧降下)を検出します。

検出された電位差をオームの法則を利用し電流値に置き換えることで、回路に流れる電流値を測定します。

直列による電流検出方法の図

本サイトでは、直列で使用するシャント抵抗をメインとして説明させていただきます。

直列でシャント抵抗を使った電流検出回路は、電圧を測定するだけのシンプルな回路となります。

ただし、シャント抵抗の電圧降下はとても小さいことが多く、そのままでは検出できない場合がほとんどです。高精度に測定を行うためには小さい電圧降下を増幅できる回路にしなければなりません。オペアンプという差動増幅回路を用いて、検出回路で検出できる値まで増幅し、測定を行う場合もございます。

シャント抵抗を使った電流検出回路の原理の図

シャント抵抗器の特長

point 1長期安定動作

抵抗器の安定性を決める要因として、抵抗体の材料の影響が挙げられます。一般的に金属板抵抗器のように金属皮膜や金属そのもので作られる抵抗体は経年劣化に強く、抵抗値にズレが生じないため、長期安定性に優れております。

point 2低抵抗温度係数

全ての物質は温度の変化に伴い、内部の抵抗値が変化してしまいます。この温度に伴う抵抗値の変化を表す抵抗温度係数が高いと耐環境性が弱く使用できる用途が限られてしまいます。
しかし、シャント抵抗器は抵抗温度係数が非常に低く、温度変化に強いため、様々なアプリケーションや用途に使用することが可能です。

point 3低電力損失

抵抗に電流を流すと、オームの法則によって抵抗の両端に電圧がかかり電力の損失が発生してしまいます。可能な限り損失を抑えることが、効率的な回路設計を行う上で重要となります。
シャント抵抗器は低抵抗であるため、回路の電力損失(降下)が低く効率的な回路設計を行うことが可能です。

point 4高電力定格

抵抗に電流を流すと、オームに法則により電力の損失が発生し、抵抗器が発熱を持ちます。この発熱は回路や機器にとって悪影響を及ぼすため、極力低く抑える必要がございます。
シャント抵抗器は低抵抗であるため、高電力で使用をしても発熱が少なく、高いワット数にも対応可能です。

シャント抵抗器の種類

抵抗器と一口に言っても、非常に多くの種類がございます。

機能
固定抵抗器、可変抵抗器
形状
面実装タイプ、リードタイプ

本サイトでは銅ベースの「面実装タイプ」 「ボルト締め」のシャント抵抗器についてご紹介させていただきます。

大電流シャント

大電流シャントは、名前の通り、大電流にも対応可能なシャント抵抗器のことです。
シャント抵抗器はオームの法則に基づく電圧降下を活用し電流値を測定します。そのため大電流を流すと発熱などの問題が生じてしまいますが、近年様々な対策を施すことで、大電流にも対応可能なシャント抵抗器も増えてきております。

大電流シャントは車載・産業機器・家電など大電流が必要とされる製品にも使用できるため、更なる活用が期待されている機器です。中でも電気自動車(EV)のバッテリーマネジメントシステム(BMS)における使用実績が豊富なシャント抵抗器となります。

大電流シャントのイメージ

SMD型パワーシャント

SMD型パワーシャントは基板などに搭載されるシャント抵抗器のことです。
表面実装に対応するために、非常に小型である点が特徴です。

SMD型の場合、プリント基板上にはんだを塗布して部品を実装するのですが、精度よく実装を行うためには、部品に対する液体の親和性を表す濡れ性が非常に重要になります。そのため、SMD型のパワーシャント抵抗器は濡れ性を考慮して設計されております。小型でも大電流に対応可能で、低抵抗の抵抗器です。

SMD型パワーシャントのイメージ

シャント抵抗器の使用事例

シャント抵抗は様々な用途で活用されています。
こちらでは実際の用途をご紹介させていただきます。

使用事例 1無停電電源装置
インバーター

無停電電源装置(UPS)やインバーターといった、電力を正しく測定することで役割を果たす製品の電力測定でも使用されます。

使用事例 2電力変換装置

電力を使用するためには、正しい変換が必要不可欠となります。様々な場面の電力変換において、シャント抵抗器の電力測定が活用されます。

使用事例 3デジタル・マルチメーター

電子・電気回路の値を測定・表示するために活用されるデジタルマルチメーターにおいて、シャント抵抗器を活用した電力測定は不可欠です。

使用事例 4バッテリー
マネジメントシステム

あらゆる機器に電力が使用される現代において、効率的に電力を活用することはとても重要です。電力を測定することで最適なマネジメントを実現しております。

使用事例 5太陽光蓄電コントローラ

太陽光で発電した電力を効率的に蓄積するために、シャント抵抗器を活用した電力測定が実施されています。

使用事例 6パワーモジュール

パワーモジュールから効率的に電力を共有するためには、電力測定が必要となります。シャント抵抗器を活用した電力測定によりパワーモジュールの最適な活用が可能となります。

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